新着レビュー
Morbid Angel / Covenant
米国フロリダ州出身のデス・メタルの帝王による1991年3作目。リーダーであるトレイ・アザトース(Gu)と共に、バンド草創期の頃からツイン・ギターを披露していたリチャード・ブルーネル(Gu)が脱退した為、3人編成となった。退廃的な響き、鬱々しい音色、滲み出る邪悪さ、暗黒美に満ちた世界観などの表現を強みに、カルト的な人気を誇ってきたが、過去の作風を吹っ切ったような、ディストーション・ギターによる破壊的な爆撃音、残忍なブラストビート、怒鳴るように吐き捨てた叫び声は、これまでになかった圧倒的な威圧感を放っている。なお、本作からトレイはIbanezの7弦を使い始め、クリケット奏法などのビブラートを加えたり、クールなハーモニック・ギターによる独特なフレーズを弾くなど、サウンド・メイキングへのこだわりも窺える。その圧倒的なインパクトゆえに、過去最大の販売枚数を記録した。
Release date: 1993 Producer: Morbid Angel, Flemming Rasmussen
鋼鉄度…82 暴虐度…85 テクニカル度…79 総合…82
Deicide / The Stench of Redemption
米国フロリダ州出身のデスメタルバンドの通算8作目。グレン・ベントン(Vo,B)の反キリスト教、サタニズムを底流とした退廃的な薫りが漂うモダンなデスメタル・スタイルで、1990年代初頭からデスメタルシーンを支えてきたが、長年バンドを共にしてきたホフマン兄弟を解雇して、ex-Cannibal Corpseのジャック・オーウェン(Gu)と、Milleniumなど多数のバンドで活躍していたラルフ・サントラ(Gu)を迎えた布陣でバンドを再建。トレモロ・リフを反復的に重ねた複雑なリズムに、抒情的なメロディを交えたツイン・ギターが、ドラムの高速ブラストビートと共に猛烈な突風のように駆け巡る。禍々しい負の感情が不気味な余韻を響かせ、ノイズの轟音と化しながらも、キレのよい硬質感と、弾むような躍動感に満ちた音像で、荘厳な世界観を描く。研ぎ澄まされた残虐性は、SLAYERの『REIGN IN BLOOD』にも匹敵する。
Judas Priest / Screaming for Vengeance
英国HM路線に回帰した1982年8作目。HR/HM専門の某ラジオ番組でも採用された、幕開けとなる“The Hellion”〜“Electric Eye”では、非の打ち所がない完璧なまでの、HMのイメージを形成して世界のメタル・ヘッド達を震撼させた。ヘヴィでタイトな音像に後押しされながらも、ツイン・ギターの叙情性ある美しき旋律が鳴り響き、爽やかな疾走感が感じられる“Screaming for Vengeance”等は、まさにスピード・メタルを体現した名曲だ。本作の特徴としては、随所でサウンド・エフェクトを効果的に使用して、巧みに織り込んだ独特な残響効果が、否応なしに昂揚感を高めている。幅広い音域を鋭いハイトーンで絶叫する、憂いを帯びたロブの歌唱は、鋼鉄神に相応しい貫禄に満ちている。英国特有の翳りと、伝統的な様式美を兼ね備え、重厚かつ荘厳にして、統一感の取れた本作を最高傑作と呼ぶ声も多い。
Release date: 1982/7 Producer: ---
鋼鉄度…89 メロディアス度…88 疾走度…87 総合…88
KREATOR / Phantom Antichrist
近年の80年代懐古路線をさらに突き詰めた、3年振りの2013年14作目。前作からの延長線上とも言えるが、本来の冷酷なる残忍性を取り戻し、暴走気味だった直情的な衝動を抑えたことで、ジャーマン・スラッシュ三羽烏の中では、特に切れ味の鋭いスピード性が顕著となった。鋭いシュレッド・リフと、鬼気迫る強靱なドラミングによるソリッドなサウンドを根底に持ちながらも、ダークな重厚感を損なうことなく、研ぎ澄まされた緊迫感を漲らせた流麗なメロディが紡ぎ出す、妖しい雰囲気を漂わせた独創的な世界観は、他に類を見ない魅力を放つ。北欧メロディック・デスの影響によるクリーン・ギターの比重が高く、過剰に加えた甘美なメロディやアレンジには、好みが分かれるところだが、極めて広い表現方法で緊密な構成に支えられた技巧的楽曲は、単なる懐古作を超えた、新時代への飛躍を感じさせる傑作だ。
Release date: 2012/6/1
Carcass / Surgical Steel
1996年の解散から17年余を経ての2013年6作目。2008年から始まった再結成ツアー終了後に、マイケル・アモット(g)と、ダニエル・アーランドソン(Dr)は脱退、創始者であるビル・スティアー(g)と、盟友ジェフ・ウォーカー(vo,b)は、新たにダニウェル・ウィルディング(Dr)を迎えて制作した本作は、グラインド・コアの伝統とも言うべき、残虐な殺戮精神に固執したマテリアルを核に、理知的なイデオロギーをコンセプトとした、進化と革新性を求めたサウンド・プロダクションが印象的だ。超絶技巧的なギター・テクニックが冴え渡り、ケン・オーウェンへの敬意が窺える縦横無尽のドラミングも見事に再現している。初期アングラ臭は薄れたが、「Necroticism〜」と「Heartwork」の中間を行く路線を踏襲し、インテリジェンスな雰囲気を漂わせたヘヴィ&メタリックな轟音の奔流が全編を駆け巡り、最高傑作との声も多い。
Release date: 2013
Deathspell Omega / Infernal Battles
フランス出身ブラック・メタルの2000年1作目。母体となったHIRILORN解散後に、メンバーであったShaxul(Vo,B)、Hasjari(G)により'98年に結成。ブラック・メタル発祥の地であるノルウェーのサタニズム精神を支柱に、90年代後半以降のブラック・メタル・シーンを牽引していく。MAYHEMや、DARKTHRONEらの影響下と思える“暗黒性”や“暴虐性”を兼ね備え、アンダーグラウンド精神への固執を貫いた漆黒の世界観を形成。確信犯的に音質を劣悪にした、プリミティヴ・ブラック・メタルに接近する冷酷な攻撃性を有したサウンドは、オーソドックスではあるが平凡なブラック・メタルとは一線を画する存在感を放つ。本作は元々限定200枚LPとしてリリースされ、後に再発されたCDの後半4曲には、HIRILORNのYahann(Ds)が参加した『DISCIPLES OF THE ULTIMATE VOID』('99 Demo)の音源が収録された。
Release date: 2000/6/20
Twilight / Monument to Time End
USブラック・メタル界の著名アクトが集結した別働隊バンドの2010年2作目。前作から5年、'08年には解散の報が流れるなど屈折紆余を経てのリリースとなる本作では、 Blake Judd (Gu, Vo [Nachtmystium])、Wrest (Dr, Ba, Gu [Leviathan])、Imperial (Vo [Krieg])が中心となり、Stavros Giannopoulos (Gu [The Atlas Moth])、Sanford Parker (Key, Effects [Minsk])といった面々が参加。異常な気配に充ち満ちたサイケデリックなエフェクトをのせた激重スラッジ・メタルを基盤に、モダンかつフラットな聴き心地の不協和音を響かせ、暗黒の深淵へと墜ちていく。何本も重ねたギターとアトモスフェリックなシンセの旋律、ドラムとベースの硬質でタイトなリズム隊が、掴み所のない狂気を孕む。前作とは趣の異なるブラック・メタルの先進性を追求した実験的な手法で、禍々しい幽玄・閑寂の世界を表現した力作だ。
Black Sabbath / Sabbath Bloody Sabbath
米国市場では5作連続でプラチナ・アルバムを獲得することとなった1973年の5作目。これまでにない変拍子を効かせた複雑な楽曲構成で、ノイジーに歪んだ重たいリフから紡ぎ出されるプログレッシヴ的なへヴィネスを示したトニー・アイオミの偉大さに改めて感服させられる。オジー・オズボーンの異質なボーカルは、オカルティックな世界観を確立し、暗黒版ブリティッシュ・インヴェイジョンとでも表現すべき、英国特有のほの暗い翳りを帯びたへヴィ・メタルを、モダンにアメリカナイズさせたジャジーな感触が素晴らしい。イエスのリック・ウェイクマンがゲストでピアノとシンセサイザーを導入した「Sabbra Cadabra」、トニー・アイオミが哀愁のフルートを吹く「Looking For Today」、壮大な交響曲となった「Spiral Architect」等、様々な試みがなされた意欲作でもあり、前4作共にヘヴィ・メタル史上屈指の名盤となった。
初音階段 / からっぽの世界
『非常階段 starring 初音ミク 』名義で始動した、非常階段と初音ミクの禁断のコラボ。本作は、歌謡曲、アニソン、ジャズ、洋楽など幅広い選曲による、全曲カバーで構成された『初音階段』名義の待望のフル・アルバム。いたずらに大音量ノイズに走ることなく、あくまで楽曲とメロディの良さを最大限に引き出すためのエフェクトの一部としてノイズを加味させ、お馴染みの名曲達が、“懐かしさ”と“新しさ”が同居した唯一無二のボカロ・ノイズとして甦り、新たな感慨に浸ることができた。初音ミクの“艶やか”な歌声と、非常階段の“淑やか”な即興演奏によるノイズが見事に融合した、幾何学的な心地良さが漂う不思議な音の異空間でもある。アルバムでも充分に楽しめるが、ギター・ノイズと格闘するJOJO広重の勇姿と、白波多カミンが初音ミクの姿で歌う、ライヴ・パフォーマンスも一度は体験するべきだ。
非常階段 starring 初音ミク / 初音階段
日本が世界に誇るノイズ・ユニットの非常階段と、世界的に有名なボーカロイドの初音ミクがコラボした異色の企画盤。縁魔子の「やさしいにっぽん人」のカヴァーでは、無機的な初音ミクに、縁魔子が乗り移ったような物憂げな歌声を響かせ、古きよき時代のノスタルジックな情景を描く。JAGATARAの名曲「タンゴ」のカヴァーでは、ミクのたゆたう歌声が心地よいが、いずれも、アクセント程度に加味させたノイズが不気味に際立つ。JOJO広重の思い入れの選曲故か、あえて原曲を崩さない配慮で、万人にとっても聴きやすい異質なポップ・ノイズといったところか。そして、オリジナル曲「不完全な絵画」、「hatsune - kaidan」で、非常階段の本領発揮。まるで初音ミクが殺害、解体されていくような阿鼻叫喚の絶叫が、破壊と混沌の轟音の渦に飲み込まれ、擬似アイドルの世界観を覆すノイズ地獄が襲う。
Profanatica / Profanatitas De Domonatia
米国NYを拠点とするアンダーグラウンドシーンで活躍して92年に解散、2001年の再結成後にようやくリリースされたUSカルト・ブラックの2007年1作目。ex-INCANTATION、HAVOHEJで活躍していたPaul Ledney (Vocals, Drums)を中心に復活、トリッキーなアレンジを得意とするJohn Gelso(Guitar, Bass)がプロデュースを手掛けている。仄暗き地獄の底から煮えたぎるようなノイジーで引き攣ったギターと、呪術的で狂った獣のような叫びが、異常なまでのアングラ臭を撒き散らしている。並大抵のバンドとは一線を画した、悪魔崇拝的な思想、神への冒涜、反キリスト主義を貫いた暗黒底辺サウンドの重圧感には圧倒されるが、沈滞するようなリズムと内省的で不穏なメロディーが、ダーティーでダークな退廃的ムードを漂わせつつ、怪しげな宗教儀式を彷彿とさせる、極めてカオス&スリリングな異彩を放つ作風だ。
Rainbow / Rising
HR/HM界の最高峰による、永遠に語り続かれる伝説的な名盤。レインボー名義では第1作目となる本作では、ディオ以外を全員交代。ジャスト・リズムのエイト・ビートで超絶的なツーバスを叩く、元ジェフ・ベック・グループのコージーパウエルを迎え、ロック界三大巨匠により、御大が新たに目指すべき音楽性に到達した。ロニーの圧倒的な歌唱力、リッチーのリリカルな演奏、コージーの迫真のプレイは、荘厳にして威風堂々たる凱旋パレードのような劇的で華々しい旋律を紡ぎ出し、魂を揺さぶる熱きへヴィ・メタルの真髄がここにある。特に、後半(B面)の2曲は、壮大なオーケストラが導入され、中世的な歌詞の世界観が広がる、圧倒的なスペクタルを放つシアトリカルな叙情組曲の超大作だ。キッスやマノウォーを手掛けたケン・ケリーによるアートは、『虹を翔る覇者』に相応しい栄光の掌握を示唆する。
Release date: 1976/5/17
Ritchie Blackmore (g), Ronnie James Dio (vo), Jimmy Bain (b), Tony Carey (key), Cozy Powell (ds)
1. Tarot Woman / 2. Run with the Wolf / 3. Starstruck / 4. Do You Close Your Eyes / 5. Stargazer / 6. A Light in the Black
[Rmst CD] 1999/4/27
Polydor / Umgd
[2 Rmst CD] 2011/3/22
Polydor / Umgd
Deluxe Edition
[紙/2 SHM-CD] 2011/4/6
ユニバーサル
Limited Edition
Rainbow / Straight Between the Eyes
前二作のポップ路線を 継ぎつつも、ヘヴィ且つグルーヴィなサイケデリック感覚が同居したサウンドからは、紫時代を彷彿とさせるダークでミステリアスな雰囲気を仄かに漂わせている。初期のレインボーらしさは希薄となり全体的にモダンな印象が強ったため、全米チャートでは高評価を得るが、日本での評価・人気は低迷した。「Long Live Rock & Roll」の頃に模索していた完成形でもあり、自身の世界感を、ギターで感情表現した名演奏は、まさにリッチー・ブラックモアをフィーチャーした作品だ。本作からターナー(vo)が全面的に作曲に関わり、ADEなどの哀愁のバラード曲は、アメリカン・テイストに満ちたメロディとソウルフルに歌うボーカルにより深みを増した佳曲。 80年代の「HIGHWAT STAR」をコンセプトとして、バッハの「トッカータとフーガ」を引用したギターソロが演奏される@は聴き応えあり。
Release date: 1982/4/5
Ritchie Blackmore (g), Joe Lynn Turner (vo), Roger Glover (b), David Rosenthal (key), Bobby Rondinelli (ds)
1. Death Alley Driver / 2. Stone Cold / 3. Bring on the Night (Dream Chaser) / 4. Tite Squeeze / 5. Tearin' Out My Heart / 6. Power / 7. Miss Mistreated / 8. Rock Fever / 9. Eyes of Fire
[Rmst CD] 1999/5/25
Polydor / Umgd
[紙/SHM-CD] 2008/9/24
USMジャパン
Limited Edition
Rainbow / Difficult to Cure
前作で大幅にポップ化路線へと舵を切り、80年8月の“モンスターズ・ロック・フェス”を最後にパウエルが脱退。本作のリハ中にはボネットが脱退と、バンド内の確執は続く中で、中音域でソウルフルな歌唱が魅力的なジョー・リン・ターナーを3代目ヴォーカリストとして迎え、制作途中だった本作を完成した。ポップス性は一層強まり、冒頭には前作同様、Phoenixを彷彿とさせる、I Surrender (Russ Ballard Cover)を収録。米国市場を狙ったコマーシャルなメロディに重きを置いたメロディック・ハードロックを提示し、新たなファン層を獲得するも古くからのファンとは賛否両論を巻き起こす。流麗なギター捌きと、柔らかなキーボードとのユニゾンが素晴らしく、ソウルフルに歌うターナーの歌メロセンスが際立つ温かみのある作品だ。ベートーヴェン 《交響曲第9番》を導入したHは、御大らしい楽曲で微笑ましい。
Release date: 1981/2/3
Ritchie Blackmore (g), Joe Lynn Turner (vo), Roger Glover (b), Don Airey (key), Bobby Rondinelli (ds)
1. I Surrender / 2. Spotlight Kid / 3. No Release / 4. Magic / 5. Vielleicht das nachste Mal / 6. Can't Happen Here / 7. Freedom Fighter / 8. Midtown Tunnel Vision / 9. Difficult to Cure
[Rmst CD] 1999/5/25
Polydor / Umgd
[紙/SHM-CD] 2010/4/1
ユニバーサルインターナショナル / Limited Edition
Rainbow / Down to Earth
元Deep Purpleのロジャー・グローヴァー(b)をプロデューサーに迎え、前作の不評を覆すべくさらに米国市場を意識したポップ化路線を指向して売れ線を狙ったが、音楽観の相違によりディオ(vo)が脱退。大きな痛手だが、後釜に3オクターヴの声域を持つパワー・シャウター、グラアム・ボネット(vo)を起用し、古きよき純然たるハード・ロックに、ニューウェイヴ的なスピード感とダイナミズムを織り交ぜた個性的な意欲作となった。御大の得意とする哀愁が漂うフレーズを主軸に、懐古的なクラシカルな旋律や、燦然たるプログレ的な様式美の魅力にも溢れ、美しくも力強い音色を奏でるドン・エイリー(Key)との掛け合いも見事だ。御大とコージー・パウエル(Dr)の共演が聴けるのも本作が最後。パブロック的なコーラスで歌った、Since You Been Gone (Russ Ballard Cover) は、後にレインボーの代表曲となった。
Release date: 1979/10/1
Ritchie Blackmore (g), Graham Bonnet (vo), Roger Glover (b), Don Airey (key), Cozy Powell (ds)
1. All Night Long / 2. Eyes of the World / 3. No Time to Lose / 4. Makin' Love / 5. Since You Been Gone / 6. Love's No Friend / 7. Danger Zone / 8. Lost in Hollywood
[Rmst CD] 1999/5/25
Polydor / Umgd
[2 Rmst CD] 2011/3/22
Polydor / Umgd
Deluxe Edition
[紙/SHM-CD] 2011/4/6
USMジャパン
Limited Edition
マキシマム ザ ホルモン / ぶっ生き返す
神懸かり的な高度な演奏力を誇る、SYSTEM OF THE DOWNの影響による重厚で破天荒な演奏が主立ち、川北 亮(G)のクリーン・ボーカルと、津田 大輔(Ba)の鋭いデスヴォイスが、アメリカナイズされた豪快なサウンドに拍車を掛けるように激走する。ポップス路線を意識した躍動感に溢れたキャッチーなメロディに、ナヲ(Dr)の艶かな女声が冴え渡り、ハッタリのパンク精神を荒々しく爆発させた衝動は危うい快感を与え、真性デス・メタルへの皮肉とも取れるユーモラスなコミック・バンド的な世界観は、お茶目で奥深いセンスを感じさせる。多彩な音楽ジャンルをミクスチャーして変幻自在に展開させる。これぞホルモン節だ。ロニー・ジェイムス・ディオへの並々ならぬ想いが伝わるジャケットも印象的で、熱きロック・スピリッツを継いだ新たなパイオニアとしてのエンターテインメント性を存分に示している。
Release date: 2007/3/14
1. ぶっ生き返す!! / 2. 絶望ビリー / 3. 糞ブレイキン脳ブレイキン・リリィー / 4. ルイジアナ・ボブ / 5. ポリスマンベンツ / 6. ブラック¥パワーGメンスパイ / 7. アカギ シングル / 8. 恐喝〜Kyokatsu〜 / 9. ビキニ・スポーツ・ポンチン / 10. What's up, people?! / 11. チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロン ヌルル レロレロ / 12. シミ-Bristletail of soul / 13. 恋のメガラバ-MEGA LOVER / 14. ボーナストラック (シークレット トラック)
Graves Of Valor / Salarian Gate
ex-THROUGH THE EYES OF THE DEAD等のメンバーにより2005年に結成された米サウスカロライナ州出身デス・コアバンドによるデビュー作。CANNIBAL CORPSEやMORBID ANGELらに触発された王道デス・メタルに、スラッシュ路線ともクロスした破天荒で硬質な骨太サウンドを融合させた攻撃性を有しつつも、激しくも繊細で流麗なGソロをエモーショナルに響かせ、スピード感と緊迫感に溢れた新進気鋭の現代エクストリーム・サウンドで駆け抜ける。どことなくNILEの荘厳な世界観を彷彿とさせるエッセンスや独特なノリの良さも加味され、メロディと整合性が併存する、正統派メタルの構築美を備えた音楽性であるが、モダンな作風とは趣とは異とする、あくまでも質の高いデスコアを聴かせる。これからシーンを盛り上げようとしていた矢先だが、残念なことにバンドは謎の解散を遂げて消息不明に‥。
Release date: 2009/5/26
1. Salarian Gate / 2. Suffocation Of The Last King / 3. Pestilence / 4. Bridles of Incitatus / 5. Sic Semper Tyrannis / 6. Letter On the Blind / 7. To Breathe Blood / 8. The Clever Ape / 9. Diderot / 10. Locusta / 11. No Gods Left
SEVERE TORTURE / Sworn Vengeance
オランダ出身ブルータル・デスメタルの2007年4作目。音楽性はこれまで同様に、DEICIDEやMORBID ANGELらに通じるオールド・スクール直系、邪悪な反キリストのアティチュードを撒き散らした拷問的で過激なサウンドが特徴。破壊的なブラストビートとベース音でダイナミックなリズム隊を作り、切れ味の鋭いエッジを利かせたツイン・ギターを軸に、ロウ〜ミドル〜ファストまで様々なパートを、勢い任せの怒涛の曲展開だけではなく、調和が取れた表現力を持たせて聴かせる。嗚咽を吐くような排泄ガテラルも、おどろおどろしさを相殺する程の軽快で突進力ある力強い発声が魅力。突撃疾走型デス・メタルを損なうことなく、NILEのような中東風味のキャッチーなメロディを、ドゥーミーに歪んだ湿りと翳りのある暗黒サウンドに織り込んだり、独自のオリジナリティへと発展・追求する姿勢があり説得力はある。
Release date: 2007/11/12
1. Dismal Perception / 2. Serenity Torn Asunder / 3. Fight Something / 4. Repeat Offender / 5. Countless Villans / 6. Dogmasomatic Nausea / 7. Redefined Identity / 8. Buried Hatchet / 9. Sworn Vengeance / 10. Submerged in Grief
Limited edition bonus tracks:
11. It's the Limit (Cro-Mags cover) / 12. Eyemaster (Entombed cover)
[CD] 2007/11/20
Earache Records
[CD] 2008/1/13
Limited Edition
Earache
The Faceless / Akeldama
Michael Keene (G)、Brandon Griffin (Ba)を中心に結成した、カリフォルニア州LA出身テクニカル・デスコア・バンドの1st。のっけから攻撃性を剥き出しにした、ハードコアやグラインドコアの影響も顕著な狂的スピードで、まさに“エクストリーム”という形容が相応しいテクニカルな演奏を矢継ぎ早に繰り出していく。特に彼らに強い影響を与えた、CYNIC、MESHUGGAHへの敬意が伺える音楽性が特徴。プログレッシヴ・ロックの神秘的な美旋律と、デス・メタルの過激な暴虐性との対比が絶妙で、目まぐるしいスピード重視の展開の中にも、荒削りだがスラッシュ的なリフ・ワークも盛り込まれ、重力感満点の緊迫した空間を構築している。美意識の高い煽情的なフレーズも飛び交い、豊潤で多岐に渡る音楽性を高次元で融合させている。近年のテクニカル・デスコア・シーンの第一線で活躍する立役者である。
Release date: 2006/11/14
1. An Autopsy / 2. Pestilence / 3. All Dark Graves / 4. Horizons of Chaos I: Oracle of the Onslaught / 5. Horizons of Chaos II: Hypocrisy / 6. Leica / 7. Akeldama / 8. The Ghost of a Stranger
CRYPTOPSY / Once Was Not
カナダ出身テクニカル・デスメタルの2005年5作目。今なお最高傑作の誉れ高し2nd「NONE SO VILE」に、狂気の咆哮を封じ込めた“蠕虫の神”の異名を持つロード・ワーム(Vo)復帰作。クラシック・ギターで爪弾く冷たく悲壮感に溢れたインスト曲で幕を明け、独特のメランコリーが特徴的なジャズ/フュージョンを昇華したフレーズや、怪しくも儚いメロディにより異形な世界観が広がる。重厚な緊張感を高めては解き放ち、夥しい音数による音圧で怒涛の展開で畳み掛けていく。デスメタル界最速ドラマーによる超速ブラストビートと、伝説のデス・ヴォーカリストによる咆哮と絶叫を十二分に堪能できる。なお本作では初期から活動を共にしてきたジョン・レヴァーサー(G)が制作中に脱退し、新たにアレックス・オウバーン(G)を迎えた半ば不十分な4人編成だが、かつての傑作を凌ぎより深化した作品となった。
Release date: 2005/10/18
1. Luminum / 2. In the Kingdom Where Everything Dies, the Sky Is Mortal / 3. Carrionshine / 4. Adeste Infidelis / 5. The Curse of the Great / 6. The Frantic Pace of Dying / 7. Keeping the Cadaver Dogs Busy / 8. Angelskingarden / 9. The Pestilence That Walketh in Darkness (Psalm 91 : 5-8) / 10. The End / 11. Endless Cemetery
Bonus tracks for Japan :
12. Cold Hate, Warm Blood (Live) / 13. We Bleed (Live)
[CD] 2005/10/18
Century Media
Limited Edition
SIGH / Imaginary Sonicscape
Century Media Recordsに移籍後に、リリースされた2001年5作目。冷酷なブラックメタルとは思えぬ程の、革新的なスタイルで音楽を創造してきたが、本作では、ジャズからモンゴルの喉歌(ホーミー)まで、可能な限りの音楽要素を採り入れ、かつてないアヴァンギャルドな作風でファンの度肝を抜いた一作となった。川嶋未来の悪目立ちをする過激な歌唱を囲むように、ヴォコーダー、フェンダー・ローズ・ピアノ、ハモンドオルガン、ミニムーグなどが、重厚かつ特異な超絶技巧サウンドで躍動する、壮大なシンフォ・プログレ絵巻。特にシンセの音作りとリズム感覚が斬新で、ノスタルジックなサウンドが加わり、夢うつつ空想的なリラックスした雰囲気を醸し出したり、不思議なサイケ感に溢れたアレンジにより、スリリングで異様なムードで盛り上げたりと、予測不能な展開を繰り広げる、彼らの才能は末恐ろしい。
Release date: 2001/7/23
1. Corpsecry - Angelfall / 2. Scarlet Dream / 3. Nietzschean Conspiracy / 4. A Sunset Song / 5. Impromptu (Allegro Maestoso) / 6. Dreamsphere (Return to the Chaos) / 7. Ecstatic Transformation / 8. Slaughtergarden Suite / 9. Bring Back the Dead / 10. Requiem - Nostalgia
Leviathan / True Traitor True Whore
もはや生きた伝説となりつつある、アメリカ出身Wrestによる独りアトモスフェリック・ブラックの2011年5作目。インナーサークルの狂気が飛び火した影響も伺える、憎悪に満ちた廃頽的な暗黒サウンドをベースに、病的に囁き散らす重苦しいボーカルが、絶望感や醜悪感を際立たせ、陰鬱な狂気を漂わせつつも、本作では、シューゲイザー的なノイジーで重厚なリズムを加味した残響効果を、弄ぶように複雑に重ね合わせ、浮遊感のある耽美で幻想的な雰囲気を醸し出している。深く歪ませたトレモロリフも健在で、小刻みにハイハットやスネアを使いまわすドラミングが、これまでにないメタリックな質感を与えている。「本物の反逆者、本物の売春婦」と題する本作は、古きよきモダンなブラックを継承しつつ、どこか儚い官能美を持った次世代アトモスフェリック・ブラックとして、確実に進化を遂げている。
Release date: 2011/11/8
1. True Whorror / 2. Her Circle Is the Noose / 3. Brought up to This Bottom / 4. Contrary Pulse / 5. Shed This Skin / 6. Every Orifice Yawning Her Price / 7. Harlot Rises (Mesmerized Again) / 8. Blood Red and True
Leviathan / Massive Conspiracy Against All Life
サンフランシスコに拠点を置くUSブラックメタル2007年4作目。元々はLurker of Chaliceの2作目としてリリースされる予定が、レーベルとの契約上の問題で、Leviathan名義で遅れてリリースされたなどの多くの論争が話題となった。アングラ特有の醜悪な地下臭は薄れたが、ドス黒い血生臭さを撒き散らした廃頽的でグロテスクな世界観が強まっている。ノイジーに歪ませたリフを中心に展開、超一流のドラミングやうねるベースが、猟奇的な殺意を抱き襲い掛かってくる。耳障りに捻じ曲がった残響を、幾何学(ジオメトリック)的な手法で鳴り響かせるバランス感覚が絶妙で、荘厳で威風堂々たる佇まいを持った芸術的な暗黒美すら齎す。Deathspell OmegaやBlut Aus Nordにも通じる、邪悪アトモスフェリック・ブラック・メタル。USBM界ではJudas Iscariotに次ぐ名声を築いたキャリアの集大成がここにある。
Release date: 2008/5/24
1. Vesture Dipped in the Blood of Morning / 2. Merging With Sword, Onto Them / 3. Made as the Stale Wine of Wrath / 4. VI-XI-VI / 5. Receive the World / 6. Vulgar Asceticism / 7. Noisome Ash Crown
Leviathan / A Silhouette in Splinters
光の全く届かない深海の底から、暗黒の海神が放つ2005年3作目(コンピレーション盤という見解もある)。前2作とは打って変わり、激遅暗黒アンビエント・サウンドをベースに、ドゥーム界からの影響も強く現れた、ひたすら静謐な暗黒空間を長尺のインストゥルメンタルで構築。ディレイのかかったトレモロや、多彩なエフェクトを駆使して、混濁としたサウンドスケープを作り出している。ドゥーム特有の厳格さや重苦しさを、退廃的な暗黒耽美の世界感で包み込み、奈落の底へと沈水していくトリップ感覚が心地よい。これまでのテクニック志向の作品と比べてしまうと駄作とも取れてしまうが、彼が抱く静寂と喧騒の暗黒世界を、幽玄な美しさで描き出す異端的アルバムという意味では、ブラックメタルと密接に関わりあう、現在進行形のアンダーグラウンド・シーンの一端を担う人物としては当然の結果だ。
Release date: 2005/6/1
1. Traveling Over the Ocean's Skull / 2. It Comes in Whispers Part II / 3. Particular Dis-ease / 4. Shimmering With Horn of Woe / 5. A Silhouette in Splinters / 6. Blood Red and True Part II (A Spell to Vanquish Sea Serpents)
Leviathan / Tentacles of Whorror
まるで怪奇小説の世界を彷彿するかのような、ジャケが印象的な2004年2作目。前作同様に、暗く寒々しいトレモロ主体のプリミティヴな作風をベースに、異様なグロテスクさと混沌に満ちた、不可思議で奇妙な闇の迷宮へと堕ちていく。ミドル〜スローパートの中に、独特なリズム感、リフワーク、変拍子などを織り交ぜ、緩急をつけた疾走感で、多彩な曲展開を繰り広げる。特に、RAWドラム(2ビート)が重低音の核となり、うねるベース音や、アンビエントからの影響が強い残響的なアレンジがさらなる高揚感を煽り、病的な嘆き絶叫ヴォーカル、邪悪な荘厳さを感じさせるアトモスフェリックな旋律が、暗黒の世界観を創造する。前作も素晴らしかったが、漆黒の闇に包 まれた禍々しさに、鋭通な狂気が同化した、確かなポテンシャルを感じさせる本作こそ、USブラックメタルの代表的存在となる傑作だ。
Release date: 2004/6/16
1. What Fresh Hell / 2. Heir to the Noose of Ghoul / 3. Cut, With the Night Into Mine Heart / 4. A Bouquet of Blood For Skull / 5. Deciphering Legend Within the Serpent's Briar / 6. A Necessary Mutilation / 7. Vexed and Vomit Hexed / 8. Tentacles of Whorror (Revel the Tyrant) / 9. Requiem For a Turd World / 10. Blood Red and True: Part 3 (Plummeting Obscure) / 11. Mouth Orifice Bizarre / 12. The History of Rape
Leviathan / Tenth Sub Level of Suicide
アメリカ出身ブラックメタルの2003年デビューアルバム。Krieg, Twilight, Lurker of Chaliceにも在籍し、Sunn O)))にもゲスト参加したWrestの本隊バンド。1998年の地下活動開始から十数本にも及ぶデモ音源を制作してきた流れで、独りで全ての楽器の演奏をこなし、自宅所有のTASCAM(4トラックテープレコーダー)でレコーディングされている。長年に及ぶアンダーグラウンド・シーンからの地下臭を漂わせ、ミドル〜スローパートを基本とする重低音ノイズの中を、刹那的なスピード感で、暗黒の世界へと堕ちていく。旧約聖書に登場する海神を意味するバンド名にも相応しい、何処とも知れぬ深海のような闇の底から、孤独、絶望、悲哀などの負の感情に溢れた絶叫が、冷たい暗黒の緊張感を切り裂く。自らを痛めつけ、泣き喚かせた、苦痛に満ちた衝撃的な本作を、Wrestも、「自殺」をコンセプトとする。
Release date: 2003/9/29
1. Introit / 2. Fucking Your Ghost in Chains of Ice / 3. Sardoniscorn / 4. The Bitter Emblem of Dissolve / 5. Scenic Solitude and Leprosy / 6. He Whom Shadows Move Towards / 7. Submersed / 8. Mine Molten Armor / 9. The Idiot Sun / 10. At the Door to the Tenth Sub Level of Suicide
Naglfar / Harvest
スウェディッシュメロディックブラックの2007年5th。幾度のメンバー脱退に伴う活動中止期間を経て存続が危ぶまれたが、初期の頃に僅かだか交流のあったMorgan Lie(Ba)を正式メンバーに迎えた5人編成で制作、前作「Pariah」を締め括る来日公演(Extreme Dojo.17)後に発表された。ブラストビートとツインギターとデスグロウルを軸に、グルーヴィーなミドルパートから荒々しいファストパートへの展開、リード&リズムパートの絡みや演奏も洗練された印象。シンフォ度の高いKeyはインダストリアル的サイバー感も加味し、初期の頃のエッセンスを彷彿とさせる叙情的な旋律や哀愁美も取り入れた、NAGLFARらしい禍々しいアンサンブルを放つ。ジャケットはOPETHやOVERKILLなど数多くの作品を手掛けたTravis Smithを起用し、メタルシーンからも高評価されるアーティストに成長した。
Release date: 2007/2/23
1. Into the Black / 2. Breathe Through Me / 3. The Mirrors of My Soul / 4. Odium Generis Humani / 5. The Darkest Road / 6. Way of the Rope / 7. Plutonium Reveries / 8. Feeding Moloch / 9. Harvest
[CD+DVD] 2007/3/20
Century Media
SIGH / In Somniphobia
鬼才・川嶋未来氏が率いる、日本が誇る異色のアヴァンギャルド・ブラック・メタルの2012年9作目。前作の地獄賛美歌を継承しつつ、大衆音楽を意識したジャズ色を強めた切り口で、メロディックでドライヴ感に溢れたギターワークで牽引し、優雅で壮麗なkeyの響き、重厚なベースとドラミングの豪快なリズムが、幻想的な輪舞曲のような旋律を織り成す。前衛的なプログレッシヴ・スタイルを採り入れた、モダンなジャズ感覚満載の、実に不思議なオリエンタリティなムードを漂わせている。センセーショナルなパフォーマンスで決めるDr.Mikannibal嬢のサクソフォンを始め、シンセサイザー、オルガン、メロトロンなど多様な楽器が、素晴らしいオーケストレーション・サウンドを作り上げている。超然とした迫力のグロウル・キラーチューンも随所で聴かせ、狂乱美の中にも輝かしい豊穣の闇を感じさせる芸術作だ。
Release date: 2012/3/12
1. Purgatorium / 2. The Transfiguration Fear / 3. Opening Theme: Lucid Nightmare / 4. Somniphobia / 5. L'excommunication a Minuit / 6. Amnesia / 7. Far Beneath the In-Between / 8. Amongst the Phantoms of Abandoned Tumbrils / 9. Ending Theme: Continuum / 10. Fall to the Thrall / 11. Equale I) Prelude II) Fugato III) Coda
Kreator / Enemy of God
アグレッシヴな80年代スラッシュ路線に回帰した前作「Violent Revolution」の流れを踏襲し、さらに狂暴性やミレの残忍な叫びにも迫力が増した2005年11th。「Enemy of God(神の敵によるテロリズム)」をテーマに制作された本作は、強烈なリフやギターソロ、切れ味も鋭いタイトなドラミングが怒涛の如く疾走する、王者の貫禄に満ちたスラッシュアルバム。随所に正統派ヘヴィメタルの旋律や、モダンな叙事詩的メロディを取り入れ、どこか品格のあるアプローチをみせたドラマティックな展開によりキャッチーさも大幅に増した。強烈な衝動性は4〜5thの頃に近い。20年前より格段に演奏技術やサウンドプロダクションも向上し、マイケル・アモット(G)がゲスト参加した#7では北欧メロデスばりのツインリードギターを聴かせ、現代エクストリームメタル界の若手バンドにも肩を並べる作品となった。
Release date: 2005/1/11
1. Enemy of God / 2. Impossible Brutality / 3. Suicide Terrorist / 4. World Anarchy / 5. Dystopia / 6. Voices of the Dead / 7. Murder Fantasies / 8. When Death Takes Its Dominion / 9. One Evil Comes (A Million Follow) / 10. Dying Race Apocalypse / 11. Under a Total Blackened Sky / 12. The Ancient Plague
Vader / Welcome To The Morbid Reich
ポーランドのデスメタル界の重鎮による2011年9th。'83年結成以来、Peterを除くメンバー交代は著しく、前作“Necropolis”では急遽加入したPaul (Drum)との2人になり危ぶまれた後、新規体制を立て直してのアルバムである。デスメタルの圧倒的な演奏力にスラッシュメタルのスピードを加えた、まるで獣のような凶暴性を誇るそのバンド性は変わらず、超人的なフレーズも連発し申し分ない快進撃で驚かされた。キワモノに変わらないが、スラッシャーが持つクレイジーな血生臭さは薄れ、今ようやく、映画「スターウォーズ」のダース・ベイダーからバンド名を冠したような、遥か彼方の異星を思わせるシュールな美しさ、現実を超越した神々しい戦いへのアプローチからも、独特なメロディラインの輝きは増した。来日公演ではエンターテイメント性の高いパフォーマンスでオーディエンスを楽しませた。
Release date: 2011/8/12
1. Ultima Thule / 2. Return to the Morbid Reich / 3. The Black Eye / 4. Come and See My Sacrifice / 5. Only Hell Knows / 6. I Am Who Feasts upon Your Soul / 7. Don't Rip the Beast's Heart Out / 8. I Had a Dream… / 9. Lord of Thorns / 10. Decapitated Saints / 11. They're Coming… / 12. Black Velvet and Skulls of Steel
Xasthur / To Violate the Oblivious
デプレッシヴ・ブラックメタルの暗黒帝王XASTHURによる2004年4th。'95年にMaleficにより始動、当初はRitual(Dr,Vo)との2人体制でXASTHURIATHを名乗っていたが“Rehearsal '97”リリース時にXASTHURに改名し、Malefic独りとなる。アンビエントやノイズ・シューゲイズ界からの影響が強く、ノイジーな不協和音を奏でながら、アトモスフェリックな悲壮感や絶望感を醸し出す沈鬱サウンドは従来通りだが、篭った音質は取り払われ、漆黒の世界観がより際立った。シンセによる荘厳で妖しげな雰囲気の導入、穏急の変化をつけたメリハリあるロウ〜ミドルテンポの中で、印象的なトレモロリフや強烈なドラミングが目立ち、作曲/演奏面においてもブラック特有のアンサンブルを感じられる。怨嗟感に満ちた壮絶な絶叫はまさに死者の声。もはや地下潜伏系とは呼べない程の素晴らしいクオリティ。
Release date: 2004/7
1. Intro / 2. Xastur Within / 3. Dreams Blacker than Death / 4. Screaming at Forgotten Fears / 5. Consumed by a Dark Paranoia / 6. Marked By Shadows / 7. Apparitional Void of Failure / 8. A Gate Through Bloodstained Mirrors / 9. Walker of Dissonant Worlds
Merrimack / Of Entropy and Life Denial
フレンチ・ブラックメタルの2006年2nd。長年のキャリアを誇るCorpus ChristiiやGlorior Belliでのセッション経験もあり、ex-Ancestral Fog(今は消息不明)にも在籍していたPerversifierを中心に'94年に結成。獰猛な勢いを誇るスウェディッシュ・ブラックスタイルに、インナーサークルからの影響の強さや、悪魔に魂を売ったかようなサタニズムへの傾倒ぶりを漂わせ、まさに王道ブラックメタルの真髄を突いた真性の漆黒サウンドである。邪悪極まりない暴虐パートを主軸に、儚くも冷酷な狂気を帯びたメロディアスでプリミティヴな旋律が絡み、豪快なブラストビートで熾烈な勢いで疾駆してゆく。毒気を孕んだ危険なサウンドだが、フランスならではの洗練された芸術性の追求すら感じる。突出した奇抜さが薄かったせいもあり、アンダーグラウンド界隈での活動に留めており、実力の割には惜しい存在だ。
Release date: 2006/6/6
1. ... / 2. Seraphic Conspiracy / 3. Melancholia Balneam Diaboli / 4. Redeem Restless Souls / 5. Insemination / 6. The Birth of a Life's Sacerdoce / 7. Descension From Life / 8. Subcutaneous Infection / 9. Consecration of the Temple / 10. Carnaceral / 11. Adiabatic Bonds of Consanguinity
非常階段 / made in Japan〜live at Shinjuku Pit Inn 9 April, 2012